マテリアルワークス株式会社 -Material Works-

商社の常識から見た“違和感”と“可能性” 元双日の商社マン・宮坂が、マテリアルワークスを「普通ではない」と感じた理由

「正直に言うと、少し”昔の商社の匂い”がする会社だなと思いました」

そう話すのは、2025年にマテリアルワークスへ参画した宮坂だ。双日(旧ニチメン)で約30年にわたり、繊維・合成樹脂分野を中心にグローバルで事業を担ってきた。その後、複数社を経て現在に至る。

長年商社の第一線にいたからこそ感じた「違和感」。それは、これまでの常識では説明仕切れない違和感だったが、それこそが参画の決め手になったという。

商社マンで30年。「走りながら考える」がすべてだった

宮坂のキャリアは一貫して現場にある。1988年に旧ニチメン(現双日)に入社し、最初の10年は繊維を担当。香港に駐在し、現地の合弁工場の運営にも携わった。その後、合成樹脂部門に移り、EVOHをアジア全域に展開する仕事、欧米の技術を国内に引き込む仕事など、機能性素材の領域でグローバルな実務を20年積み重ねた。

繊維から合成樹脂への転換は、自ら望んだわけではなかった。香港駐在中に繊維部門の縮小が決まり、帰国と同時に畑違いの部署へ移ることになった。

「当時まだ30歳で、正直ちんぷんかんぷんな話になると思いました。でも、繊維の構造不況は感じていたので、合成樹脂の方がまだバラ色かなという感覚もあった」

その後20年、「バラ色」どころか主力の舞台となった。商社マンとしての仕事の本質を聞くと、宮坂はこう答えた。

「スピードと、先を見る力ですね。商社マンは”走りながら考える”と言われるんですが、本当にその通りだと思います」

ただ速く動くだけでは意味がない。どこに向かうべきかを見極める先見性があって初めて、スピードが価値になる。

「間違った方向にどれだけ速く進んでも、意味がないですから」

なぜ今、マテリアルワークスに参画したのか

双日を退職後、宮坂は複数の会社を経験した。商社時代の取引先だった会社に請われて移ったこともあれば、バイオマス系素材の新規事業に関わったこともある。いずれも商社とは異なる立場で、素材領域に関わり続けた。

そして2025年、マテリアルワークスへ。加藤社長と3回、計数時間にわたって話し込んで入社を決めた。決め手になったのは事業内容よりも、会社の「向き合い方」だったという。

「デジタルや効率だけでなく、現場を大事にして、物をきちんと見てビジネスをしている。伝票だけで回す仕事ではない、というところに共感しました」

加えて印象に残ったのが、ある種の「匂い」だった。

「昔の商社が持っていたような、泥臭さというか、現場で価値をつくる感覚がある」

若いメンバーにもその文化を植え付けていこうとしているフェースにある、という点も宮坂には魅力であった。30年かけて身につけたものを、次の世代に渡せる場があるかもしれない。そう感じたという。

「同じ素材でも、見える景色が変わる」

マテリアルワークスで扱っている素材領域は、宮坂が長年携わってきた世界と重なる。目新しいものではない。それでも、「見え方が違う」と感じた。

「やっていること自体は大きく変わらないんですが、言葉の使い方や考え方で、見える景色が変わるんです」

たとえば一般的には価値が低いと見られがちな素材でも、捉え方や提供の仕方によってまったく別の意味を持つ商材になりうる。他社では手に入らない素材に付加価値を乗せ、ビジネスを複合化していく。それがこの会社の動き方だと宮坂は見ている。

「単に”余っているものを売る”という話ではなくて、そこにどう価値をつけるか。どう広げるか。そこが面白いと思いました」

商社にいるとどうしても規模やシェアで物を見るようになる。この会社は価値で見ている。30年の経験を持つ宮坂には、その違いがはっきりと分かった。

非効率に見える。でも、気になった

宮坂が最も印象的だったのは、工場取得という意思決定だった。

「普通の商社であれば、まずは売上を積み上げてから投資を検討する。効率や回収期間を前提に考えます」

一方でマテリアルワークスは、先に「器」を持つ選択をした。売上規模から見ても大きすぎる投資で、商社的な発想ではまず通らない判断だという。

「あの空間があることで、”これもできる、あれもできる”という発想が広がる。これは商社にはあまりない考え方ですね」

一見すると非効率に映る。それでも宮坂がこの会社を面白いと感じたのは、その余白に何かが生まれそうだという感覚があったからだ。実際に工場に足を踏み入れてみると、取引先からも「売上規模の割にこれだけの設備を維持しているのはすごい」という反応が返ってくると言う。

シーズではなく、ニーズから始まる

もう一つ、大きな違いとして宮坂が挙げるのが事業の起点だ。商社はどちらかというと「これがあるから売る」というシーズ型のビジネスが多い。それに対してマテリアルワークスは、お客様の困りごとを全部解決しようというニーズ起点で動いていると感じたという。

手間はかかる。効率で言えば劣る。ただ、それが積み重なった先に何があるかは、宮坂には想像がつく。

「きめ細かい対応は、規模の大きい会社ほど難しくなっていく。その部分をちゃんとやっているのは、今の市場では逆に新鮮に映ると思います」

フェアであること。それが長く続く条件

30年のキャリアの中で宮坂が大事にしてきた価値観がある。それが「フェアであること」だ。特定の出来事というより、長年のビジネスの中で少しずつ積み重なってきた感覚だという。

「ビジネスを続けていく中で、結局残るのはフェアな会社だと思っています。業界では案外わかるもので、振り返るとそういうところが生き残っている」

フェアとは、相手に合わせることではない。自分たちの主張を持った上で、正面から向き合うことだと言う。

「プロとしてきちんと戦うことだと思っています。強い相手と対等に向き合う。取り込まれるだけでも、取り込むだけでもダメで、そこで初めて長く続く関係になる」

ここからが、本番だ

最後に、なぜこの会社に加わったのかを改めて聞いた。宮坂はしばらく考えて、こう答えた。

「30年商社でやってきたからこそ分かるんですが、この会社は”普通ではない”と思います」

商社とメーカー、その両方の機能を持ちながら、価値起点で動いている。商社の目線と、ものをつくる現場が交わるところに、これまでの商社では見えなかった事業の形がある。宮坂はそこに、自分の出番を見ている。

「商社機能とメーカー機能がクロスするところ、それをいかにして組織として追いかけられるか。そこにすごくチャレンジがある」

加藤が20年かけて積み上げてきた素材、工場、ネットワーク、人材——その構想を実現するための準備が、いまようやく整ってきた。宮坂はそこに飛び込んだ一人だ。

「まだ整理しきれていないテーマも多いんです。でも、その余白があるから面白い。普通の会社なら、もっと早い段階で”まとめに入る”と思うんですよ」

商社だけでも、メーカーだけでもない、新しい事業の形をつくっていく。30年で培った目利きと人脈を持ち込みながら、宮坂はその知見と経験を、ここから非連続に広げていくつもりだ。

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